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フレームワークの使用

ここでは、基盤的な処理を自動化してくれる、簡易フレームワークについて説明します。

標準で使用できる、3DCGプログラム用のフレームワーク

前回と前々回で扱ったように、3DCGのプログラムでは、表示画面やレンダラー(描画エンジン)の生成、 画面描画やアニメーションのためのループ制御、マウス操作に対する処理など、基盤的な処理が必要になります。 これらを毎回記述するのは面倒であるため、 このような処理を自動で行ってくれるフレームワーク「 Graphics3DFramework 」が標準で用意されています。

ユーザーが定義する関数

フレームワークは、単体でも基本構造としてはできあがったプログラムであり、普通に実行する事もできます。 ただし、標準では何の立体も配置されておらず、真っ白な画面が表示されるだけです。

そこで、普通は自作のプログラムからフレームワークを読み込んだ上で、 立体の配置などの必要な処理だけを追加して使用します。 具体的には、決まった名前と引数の関数を定義して、その中に行いたい処理を記述すると、 フレームワークがそれを呼び出して実行してくれます。

フレームワークが自動で呼び出してくれる関数には、タイミングに応じて以下5つがあります:

フレームワークが呼び出す関数一覧(これらを定義して処理を実装する)

void onStart ( int rendererID )
プログラムの最初に呼び出される関数(各種設定や、立体の配置処理などを記述)
void onPaint ( int rendererID )
画面更新周期ごとに呼び出される関数(画面描画用、3DCGでは普通あまり使用しない)
void onUpdate ( int rendererID )
画面更新周期ごとに呼び出される関数(アニメーションでのモデル移動処理などを記述)
void onResize ( int rendererID )
画面サイズが変更されたときに呼び出される関数
void onExit ( int rendererID )
プログラムを終了する時に呼び出される関数

これらの関数の引数「 rendererID 」には、フレームワークから呼び出される際に、 自動で用意されている3DCGレンダラー(描画エンジン)のIDが入っています。 これはモデルの配置などに必要です。

なお、上記の関数を全て定義する必要はありません。使うものだけを定義し、処理を記述してください。 よくあるパターンとしては、onStart関数の中でモデルの生成や配置を行い、 onUpdate関数の中でモデルを少しずつ動かしてアニメーションする、といった具合です。

onUpdate関数は、負荷にもよりますが、大体1秒間に30回ほど呼び出されます。 それと交互に、2DCGではよく使用したonPaint関数も呼び出されますが、3DCGではあまり使用しません。

プログラム例

実際にフレームワークを使用して、座標軸モデルが回転するアニメーションの3DCGプログラムを作成してみましょう。 以下のように記述し、実行してみてください。


// フレームワークの読み込み
import graphics3d.Graphics3DFramework;
import Graphics3D;


// 座標軸モデルのIDを控えておく変数
int axis;


// プログラムの最初に呼び出される関数
void onStart( int rendererID ) {
	
	// 画面サイズや背景色の設定(省略可能)
	setWindowSize(800, 600);
	setBackgroundColor(0, 0, 0, 255);
	
	// 座標軸モデルを生成して配置
	axis = newAxisModel( 3.0, 3.0, 3.0, );
	mountModel( axis, rendererID );
}


// 画面更新周期ごとに、毎秒数十回呼び出される関数
void onUpdate( int rendererID ) {

	// 座標軸モデルをZ軸まわりに少しだけ回転させる
	rotModelZ( axis, 0.03 );
}
Sample.vcssl

このプログラムを実行すると、ウィンドウが立ち上がり、座標軸モデルがゆっくりとアニメーションで回り続けます。 ウィンドウ上で左マウスドラッグを行うと視点が回転し、右マウスドラッグを行うと、 視点が平行移動します。さらにマウスホイールの回転操作で拡大/縮小を行う事もできます。

実行結果、黒い画面に座標軸モデルの図。
実行結果
真っ黒な画面に、座標軸モデルが表示される。マウス操作も可能。



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