システム関数と定数

ここでは、VCSSLの基礎的な機能を提供する、システム関数と定数を紹介します。

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システム関数とシステム定数

システム関数は、ユーザーが定義する関数とは異なり、VCSSL のプログラムを処理するシステム(処理系)によって、標準でサポートされている関数です。

これまで扱ってきた内容でも、システム関数を何度も使っていました。 というのも、結果の出力に使用していた print 関数なども、全てシステム関数です。 つまり、VCSSL の処理系の機能を呼び出して、画面出力を行っていたわけです。

関数以外にも、「扱える整数の最大値」など、処理系と密接に結びついている値は、標準で定数として定義されています。 それらをシステム定数と呼びます。

システム関数/定数は、標準ライブラリの一つ「System ライブラリ」に所属

また後の回で解説しますが、VCSSLでは、複数の関数や変数などを「ライブラリ」という形にまとめる事ができます。

ライブラリには、いくつか標準で用意されているものがあり、それらを標準ライブラリと呼びます。 そして、標準ライブラリの一つである「Systemライブラリ」に、システム関数/定数がまとめられています。

普通、何らかのライブラリを使用するには、それを読み込むように指定する必要があります(import/include宣言)。 しかし、Systemライブラリだけは、使わない事がほぼ考えられないため、何もしなくても標準で読み込まれるようになっています。 実際にこれまでも、print 関数などをいつでも使用できましたね。それは、このルールのおかげなのです。

システム関数/定数の一覧と、それぞれの厳密な説明については、下記の仕様書をご参照ください:

以下では、代表的なもののみをピックアップして、概要を簡潔に紹介します。

代表的なシステム関数

以下が、代表的なシステム関数の例です。

関数名 引数 概要
print 任意型、任意個数 引数の内容をコンソールに表示します。
println 任意型、任意個数 引数の内容をコンソールに表示し、改行します。
output 任意型、任意個数 引数の内容を、結果出力用の端末に表示します。端末が存在しない処理系では、println 関数と同様の動作をします。
popup 任意型、任意個数 引数の内容をポップアップウィンドウに表示します。
input 任意型、任意個数 引数の内容を入力ウィンドウに表示しつつ、ユーザーからの入力を受け付けます。最後の引数はデフォルトの入力値となります。入力結果は、string 型の戻り値として返されます。
confirm 任意型、任意個数 引数の内容を入力ウィンドウに表示しつつ、ユーザーによる YES/NO の選択を受け付けます。洗濯結果は、bool型の戻り値として返されます。
select 任意型、任意個数 引数の中から 1 個を選択するようユーザーに要求します。選択結果は、string 型の戻り値として返されます。
choose string型のメッセージ ファイルまたはフォルダの選択をユーザーに要求し、選択結果の絶対パスを、string 型の戻り値として返します。引数には、選択画面のメッセージを指定します。もう一つ string 型の引数を追加で渡して、ファイルを選択する場所(フォルダ)を指定する事もできます。
sleep int 型の停止時間(ミリ秒) プログラムの実行を、引数に指定された時間だけ停止します。
exit なし プログラムの実行を終了します。
hide ※ なし コンソールを見えなくします。
show なし コンソールを見えるようにします。
clear なし コンソールの内容をクリアします。ただし、処理系や設定によっては、クリアが不可能な場合もあります。
save string型のファイルパス 現在のコンソールの内容を、引数に指定されたファイルに保存します。もう一つ引数を追加すると、コンソールの内容ではなく、その引数の値が保存されます。
load なし 現在のコンソールの内容を、string 型の戻り値として返します。もう一つ引数を追加して、ファイルパスを指定した場合は、コンソールではなくそのファイルの内容を読み、戻り値として返します。
re complex または varcomplex 型の値 引数の実部を返します。戻り値の型は、引数が complex の場合に float、varcomplex の場合に varfloat になります。
im complex または varcomplex 型の値 引数の虚部を返します。戻り値の型は、引数が complex の場合に float、varcomplex の場合に varfloat になります。
※ hide 関数を使用すると、VCSSL コンソールを閉じる事ができなくなり、 そのままではユーザーが手動でプログラムを終了させる手段が無くなるため、設計上の注意が必要です。 GUI を用いたプログラム等でhide 関数を使用する場合は、メインウィンドウを閉じた際に exit 関数をコールさせるなどして( onWindowClose イベントハンドラを用います )、 プログラム側から自身を終了させるように設計してください。

代表的なシステム定数

続いて、以下は、代表的なシステム定数の例です。

定数名 概要
INT_MAX int int 型の最大値です。
INT_MIN int int 型の最小値(マイナス方向の最大値)です。
FLOAT_MAX float float 型の正の最大値です。マイナス符号を付けると、マイナス方向の最大値になります。
FLOAT_MIN_ABS_NORMAL float 正規化数の範囲内において、float 型で表現可能な、最も絶対値が小さい値(正の値、0 以外)です。マイナス方向の最大値ではない事に注意してください。
FLOAT_MIN_ABS_DENORMAL float 非正規化数の範囲を含めて、float 型で表現可能な、最も絶対値が小さい値(正の値、0 以外)です。マイナス方向の最大値ではない事に注意してください。
>EOL string 環境で使用されている標準的な改行コードです。
LF string 環境依存の改行コードLF ( 0x0A ) です。
CR string 環境依存の改行コードCR ( 0x0D ) です。
I complex complex 型の虚数単位(0.0,1.0)です。
VCI varcomplex varcomplex 型の虚数単位(0.0,1.0)です。
NULL 特別な型 無効な値です。文字列や構造体などは無効値を保持する事があり、その場合にNULL と比較すると true が得られます。代入する事も可能です。なお、int 型との比較・代入に関しては、特例的に -1 と等価な振る舞いをします(0 と等価ではない事に注意してください)。

他にも様々な関数/定数が使用可能

ここで紹介したシステム関数/定数は、あくまでも一部です。さらに、システム関数/定数の枠を超えて、標準ライブラリ全体を見渡してみると、千個以上の様々な関数/定数が、標準で利用可能になっています。 詳細は、下記の標準ライブラリ仕様書をご参照ください: