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立体の移動

ここでは、モデルやポリゴンの移動を扱います。

モデルの移動

アニメーションなどで、モデルを動的に移動させ続ける場合には、後の回で扱う座標系を使用するのが基本です。

しかし、モデルを単に一回 〜 数回だけ移動させたいような場合には、 moveModel 関数を用いて、より簡単に行う事ができます。

- 関数仕様 -

void moveModel (
  int modelID,
  float dx, float dy, float dz
)

引数は以下の通りです:

  • modelID: 移動対象のモデルのIDを指定します。
  • dx, dy, dz: それぞれ X, Y, Z 方向の移動距離を指定します。

この関数は、モデルを構成する全てのポリゴンの位置情報(座標値)を書き換える事により、モデルを移動させます。

そのため、後の回で扱う、座標系を介する移動方法と比べると、多少処理が重くなります。また、追加移動しか行えないので、「元の位置に戻したい」といった場合には不便です。一方で、そのような点が問題にならない場合(単発移動など)には手軽で便利です。

ポリゴン単位での移動

モデルではなく、ポリゴン単位での移動を行うには、 movePolygon 関数を使用します。

- 関数仕様 -

void movePolygon (
  int polygonID,
  float dx, float dy, float dz
)

最初の引数polygonIDでは、設定対象のポリゴンのIDを指定します。 続く引数dx、dy、dzでは、それぞれX、Y、Z方向の移動距離を指定します。

プログラム例

まずは単に配置位置を移動させる例

実際に球モデルを配置し、Z軸方向へ移動させてみましょう。 以下のように記述し、実行してみてください。


import graphics3d.Graphics3DFramework;
import Graphics3D;

// プログラムの最初に呼び出される関数
void onStart ( int rendererID ) {

	// 画面サイズや背景色の設定(省略可能)
	setWindowSize( 800, 600 );
	setBackgroundColor( 0, 0, 0, 255 );

	// 座標軸モデルを生成して配置
	int axis = newAxisModel( 3.0, 3.0, 3.0 );
	mountModel( axis, rendererID );

	// 球モデルを生成して配置
	int sphere = newSphereModel( 1.0, 1.0, 1.0, 10, 7 );
	mountModel( sphere, rendererID );

	// Z軸方向に移動
	moveModel( sphere, 0.0, 0.0, 2.0 );
}
Move.vcssl

このプログラムを実行すると、黒い画面に白い球が表示されます。 白い球は、Z軸方向に2だけ移動されています。

球を移動した例の図
実行結果
球モデルが移動された様子が見て取れる。

アニメーションで移動させる例

アニメーションで移動させたい場合などは、以下のように onUpdate 関数内で少しずつ移動させます。 onUpdate 関数は、フレームワークから1秒間に数十回程度、自動で呼び出されます。


import graphics3d.Graphics3DFramework;
import Graphics3D;


// モデルのIDを控えておく変数
int axis, sphere;


// プログラムの最初に呼び出される関数
void onStart ( int rendererID ) {

	// 画面サイズや背景色の設定(省略可能)
	setWindowSize( 800, 600 );
	setBackgroundColor( 0, 0, 0, 255 );

	// 座標軸モデルを生成して配置
	axis = newAxisModel( 3.0, 3.0, 3.0 );
	mountModel( axis, rendererID );

	// 球モデルを生成して配置
	sphere = newSphereModel( 1.0, 1.0, 1.0, 10, 7 );
	mountModel( sphere, rendererID );
}


// 画面更新周期ごとに、毎秒数十回呼び出される関数
void onUpdate (int renderer) {

	// X軸方向に少しずつ移動
	moveModel( sphere, 0.02, 0.0, 0.0 );
}
MoveAnimation.vcssl

このプログラムを実行すると、白い球がX軸方向に、 アニメーション的にゆっくりと動いていきます。

球が移動するアニメーションの図
実行結果
球モデルがゆっくりと移動していく。



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