光源の生成・配置と各種設定

ここでは、光源の生成と配置方法、および色や輝度の設定について扱います。

- 目次 -

球モデルの配置

まずは下準備として、光の影響を見えるようにするために、球モデルを配置してみましょう。 様々なモデルの生成と配置に関しては次章で詳しく扱いますので、 とりあえずは下のように記述し、実行してみてください。


import graphics3d.Graphics3DFramework;
import Graphics3D;

// プログラムの最初に呼び出される関数
void onStart ( int rendererID ) {
	
	// 画面サイズや背景色の設定(省略可能)
	setWindowSize(800, 600);
	setBackgroundColor(0, 0, 0, 255);
	
	// 球モデルを生成して配置
	int sphere = newSphereModel( 2.0, 2.0, 2.0, 12, 8 );
	mountModel( sphere, rendererID );
}
MountSphereDefaultLight.vcssl

このプログラムを実行すると、画面中心に球が表示されます。 球にはちゃんと陰影が付いて、立体感があるように描画されています。 これは、フレームワークの Graphics3DFramework が、標準で光源を用意して配置してくれているためです。

実行結果、球が表示されている図。
実行結果
球にはちゃんと陰影が付いて、立体感があるように描画されている。

もし光源が無ければ、球には光が当たらずに真っ黒になるはずです。 実際に、標準の光源の明るさを0にして、明かりを消してみましょう。 上のプログラムのonStart関数内(どこでも大丈夫です)に、以下のように3行だけ追記してみてください:


...

// プログラムの最初に呼び出される関数
void onStart ( int rendererID ) {
	
	// 標準の光源の明るさを 0 にする
	setDirectionalLightBrightness( 0.0 );
	setAmbientLightBrightness( 0.0 );  
	
	...
MountSphereNoLight.vcssl

実行すると、このように真っ黒になります。球に光が一切当たらないためです。

実行結果、真っ黒になっている図。
実行結果
球に光が一切当たらないため、真っ黒に描画されている。

光源の生成

光の加減を自分で細かく調整したい場合、上のように標準の光源を消してから、自分で光源を生成して配置する事になります。

光源を生成するには、 newLight 関数、 newPointLight 関数、 newAmbientLight 関数の3つの関数を使用します:

int newLight ( int x, int y, int z, float power )
全体を一定の方向から照らす平行光源を生成する関数です。
int newLight ( int x, int y, int z, float power )
特定の点から放射状に照らす点光源を生成する関数です。
int newAmbientLight ( int x, int y, int z, float power )
方向に関係無く、 モデル全体を一様に照らすアンビエント(環境光)光源を生成する関数です。

引数は以下の通りです:

これらの関数は、各種の光源を生成し、その光源のIDを割り振って返します。このIDは、配置や設定操作などで使用します。

光源の配置

光源を配置するには、 mountLight 関数を使用します。

- 関数の形式 -

void mountLight ( int lightID, int rendererID )

引数は以下の通りです:

なお、光源は、任意の座標系の上に配置する事も可能です。 そのような場合には引数を一つ追加し、配置先座標系のIDを指定します:

- 関数の形式 -

void mountLight ( int lightID, int rendererID, int coordinateID )

引数は以下の通りです:

光源の色設定

光源の色を設定するには、 setLightColor 関数を使用します。

- 関数の形式 -

void setLightColor (
  int lightID,
  int red, int green, int blue, int alpha
)

引数は以下の通りです:

色の付いた光でモデルを照らすと、 光の色が持つ色成分が、モデルの色が持つ色成分をそれぞれ照らします。 つまり光の青成分は、モデルの青成分のみを照らし、赤成分には影響を与えません。

具体的には、白いモデルを青い光で照らすと、普通の青色になります。 しかし、緑のモデルや赤いモデルを青い光で照らしても、全体的に暗いままです。

光源の位置設定

光源の位置を変更するには、 setLightLocation 関数を使用します。

- 関数の形式 -

void setLightLocation ( int lightID, float x, float y, float z )

引数は以下の通りです:

光源の輝度設定

光源の輝度を変更するには、 setLightBrightness 関数を使用します。

- 関数の形式 -

void setLightBrightness ( int lightID, float power )

引数は以下の通りです:

引数powerで光源の輝度を指定します。 輝度は0.0〜1.0の範囲で指定します。 全体を一個の光源で照らす場合、大体0.5前後の輝度が適正値です。

光源が多数存在する場合は、その分だけ一個当たりの輝度を下げてやる必要があります。 しかし輝度の等しい光源が様々な方向に存在すると、 陰影が一様化してしまい、立体感が無くなってしまいがちです。 そのような場合には、各光源の輝度をある程度ばらけた値に設定する事が有効です。

距離による明るさの減衰はない事に注意

なお、VCSSL光源は、近いものも遠いものも同じ明るさで照らします。光源と物体の距離に応じて、明るさを減衰させる機能は、今の所サポートされていません(将来的に、輝度とは別の設定項目として追加される計画はあります)。

従って、「この光源は遠くにあるので、照らされ方を暗くしたい」といった場合、その光源の輝度自体を下げて調節してください。

プログラム例

それでは、先程のプログラムで光源を配置してみましょう。以下のように記述し、実行してみてください。


import graphics3d.Graphics3DFramework;
import Graphics3D;

// プログラムの最初に呼び出される関数
void onStart ( int rendererID ) {
	
	// 画面サイズや背景色の設定(省略可能)
	setWindowSize(800, 600) ;
	setBackgroundColor(0, 0, 0, 255);
	
	// 標準の光源の明るさを 0 にする
	setDirectionalLightBrightness( 0.0 );
	setAmbientLightBrightness( 0.0 );
	
	// (1.2, 1.5, 1.0)の位置に、輝度0.5の光源を配置
	int light = newLight( 1.2, 1.5, 1.0, 0.5 );
	mountLight( light, rendererID );
	
	// 原点に、輝度0.5のアンビエント光源を配置
	int ambientLight = newAmbientLight( 0.0, 0.0, 0.0, 0.5 );
	mountLight( ambientLight, rendererID );
	
	// 球モデルを生成して配置
	int sphere = newSphereModel( 2.0, 2.0, 2.0, 12, 8 );
	mountModel( sphere, rendererID );
}
SphereWithLight.vcssl

このプログラムを実行すると、ちゃんと光に照らされた球が表示されます。 最初の実行結果と同じですが、最初は標準で用意されている光源で照らされていたのに対し、 今度は自分で生成・配置した光源で照らされています。

なお、光の明るさは、 newLight 関数で生成した光源の輝度によって調整できます。 影の場所の明るさは、 newAmbientLight 関数で生成した、アンビエント光源の輝度によって調整できます。

実行結果、光に照らされた白い球が表示されている図
実行結果
球に光が当たって、立体感も表現されている。