[ 前へ | 目次 | 次へ ]

ベクトルの生成・配置と基本的な操作・演算

ここでは、ベクトルの生成と配置方法、および基本的な操作と演算について扱います。

ベクトルとは

3次元空間に関する作業では、 (X,Y,Z)のように3つの値を一組にして扱うのが便利です。 例えば空間上の位置はまさしく(X,Y,Z)の組で決まりますし、 空間上の方向も3つの方向成分(Vx,Vy,Vz)で決まります。 動く物体が単位時間に移動する変位も同様に(Dx,Dy,Dz)というように、 3つの方向成分で表せます。 そこで、このような3つの方向成分を一組にまとめたものが、 3次元におけるベクトル(3次元ユークリッド空間ベクトル)です。

VCSSLでは、ベクトルの座標変換や内積・外積などの基本演算などを簡単に扱えるようにするため、 ベクトルを生成して座標系上に配置できるようになっています。

ベクトルの生成

ベクトルを生成するには、newVector関数を使用します。

- 関数仕様 -

int newVector ( float x, float y, float z )

引数x、y、zに、それぞれベクトルのX、Y、Z成分を指定します。 この関数は引数を成分にもつベクトルを生成し、 そのベクトルに固有のIDを割り振って返します。

引数を以下のようにして、 すでに存在しているベクトルのコピーを生成する事もできます。

- 関数仕様 -

int newVector ( int copyID )

引数にはコピーしたいベクトルのIDを指定します。

ベクトルの配置

生成したベクトルは、モデルやポリゴンと同様、 座標系の上に配置して使用します。 ベクトルを配置するにはmountVector関数を指定します。

- 関数仕様 -

int mountVector ( int vectorID, int rendererID )
int mountVector ( int vectorID, int rendererID, int CoordinateID )

2つの関数がありますが、上の関数ではワールド座標系上に、 下の関数では任意の座標系上に配置する事ができます。 引数vectorIDには配置するベクトルのIDを、 続く引数rendererIDにはレンダラーのIDを、 最後のCoordinateIDに配置先座標系のID(省略するとワールド座標系)を指定します。

ベクトルの成分設定

ベクトルの成分を設定するには、setVector関数を使用します。

- 関数仕様 -

void setVector ( int vectorID, float x, float y, float z )

引数vectorIDに設定対象のベクトルのIDを、 引数x、y、zに、それぞれベクトルのX、Y、Z成分を指定します。 この関数で、すでに存在しているベクトルの成分を書き換える事ができます。

ベクトルの成分取得

ベクトルの成分を取得するには、 getVectorX、getVectorY、getVectorZ関数を使用します。

- 関数仕様 -

float getVectorX ( int vectorID )
float getVectorY ( int vectorID )
float getVectorZ ( int vectorID )

3つの関数がありますが、 それぞれX成分、Y成分、Z成分を返します。 引数vectorIDに取得対象のベクトルのIDを指定します。

内積

ベクトルの内積を計算するには、getVectorInnerProduct関数を使用します。

- 関数仕様 -

float getVectorInnerProduct ( int vectorID1, int vectorID2 )

引数vectorID1とvectorID2に、 内積を計算する2つのベクトルのIDを指定します。 この関数は指定されたベクトルの内積を計算して返します。

外積

ベクトルの外積を計算するには、 getVectorCrossProduct関数を使用します。

- 関数仕様 -

void getVectorCrossProduct (
  int vectorID1, int vectorID2, int crossVector
)

この関数は、 引数vectorID1とvectorID2に指定したベクトルの外積を計算し、 その結果を引数crossVectorに指定されたベクトルに代入します。 crossVectorはあらかじめ生成しておく必要があります。



スポンサーリンク



この階層の目次
[ 前へ | 目次 | 次へ ]
RINEARN からのお知らせ
※ VCSSL は RINEARN が開発しています。

リニアングラフやVCSSLの最新版をリリース、目盛りの位置や内容を自由に指定可能に!
2024-11-24 - リニアングラフ3D/2Dを更新し、自由な位置に、自由な表記内容の目盛りを描けるようになりました! 併せて、Java言語やVCSSLでの、プログラム制御用APIも拡張しています。詳細をお知らせします。

Exevalator 2.2 をリリース、TypeScript 対応によりWebブラウザ上で動作可能に
2024-10-22 - オープンソースの式計算ライブラリ「Exevalator(エグゼバレータ)」の2.1をリリースしました。新たに TypeScript に対応し、Webブラウザ上での式計算にも使えるようになりました。詳細を解説します。

アシスタントAI作成の舞台裏(その2、作成編)
2024-10-12 - アシスタントAIの作成方法解説の後編です。実際にChatGPTの「GPTs」機能を用いて、アシスタントAIを作成する手順や、独自の知識をもたせたり、精度を出すためのノウハウなどを解説しています。

アシスタントAI作成の舞台裏(その1、基礎知識編)
2024-10-07 - アシスタントAI作成方法解説の前編です。今回はまず、アシスタントAIを作る前に抑えておきたい、基礎知識を延々と解説しています。そもそもLLM型AIとはどんな存在か? RAGとは何か? 等々です。

ソフトの利用をサポートしてくれるアシスタントAIを提供開始!
2024-09-20 - RINEARN製ソフトの使い方の質問応答や、一部作業のお手伝いをしてくれる、アシスタントAIを提供開始しました。ChatGPTアカウントさえあれば、誰でも無料で使用できます。使い方を解説します。

Exevalator 2.1 をリリース、新たに Visual Basic に対応
2024-07-28 - オープンソースの式計算ライブラリ「Exevalator(エグゼバレータ)」の2.1をリリースしました。今回から、新たに Visual Basic(VB.NET)でも使用できるようになりました。詳細を解説します。

関数電卓 RINPn(りんぷん)、Esc キーで計算式の一発クリアが可能に
2024-07-20 - 関数電 RINPn の Ver.1.0.2 をリリースしました。今回から、キーボードの「 Esc 」キーを押すと、入力中の計算式を一発でクリアできるようになりました。詳細を解説します。

Exevalator 2.0 をリリース、互換性に注意が必要なバグ修正が 1 件
2024-07-14 - オープンソースの式計算ライブラリ「Exevalator (エグゼバレータ)」の2.0をリリースしました。今回の更新では、互換性に注意を要する 1 件のバグ修正があります。詳細を解説します。

各ソフトウェアをアップデート、リニアングラフのコマンド拡張やVCSSLの英語対応など
2024-02-05 - 各ソフトの一斉アップデートの内容をお知らせします。今回は、リニアングラフのコマンド機能を大幅拡張したのがメインです。また、VCSSLのメッセージ類の英語対応も行いました。

Vnano の Ver.1.1 で実装した反復計算高速化の内側
2024-01-17 - 前回のお知らせ記事の続編です。スクリプトエンジン Vnano の Ver.1.1 において実施した高速化を、エンジン内部の実装面から掘り下げて解説します。

新着
[公式ガイドサンプル] 各種の図形や画像を描画する

「VCSSL 2DCG開発ガイド」内のサンプルコードです。図形や画像などを描画します。
2022-12-16
角度の「度」とラジアンとを相互変換し、図示もするツール

45度などの「度」の値と、ラジアンの値とを相互に変換できるツールです。対応する角度の図示もできます。
2022-11-22
[公式ガイドサンプル] 立体モデルを回転させるアニメーション

「VCSSL 3DCG開発ガイド」内のサンプルコードです。立体モデルを、アニメーションで回転させ続けます
2022-11-18
[公式ガイドサンプル] 立体モデルを回転させる

「VCSSL 3DCG開発ガイド」内のサンプルコードです。立体モデルを、指定した角度だけ回転させます。
2022-11-17
[公式ガイドサンプル] 四則演算の計算順序や、カッコを使った順序指定

「VCSSLスタートアップガイド」内のサンプルコードです。四則演算が計算される順序や、カッコを使って順序を指定する方法を例示します。
2022-10-31