座標系の自転

ここでは、座標系の自転を扱います。 ここで扱う自転とは、 自身の座標軸を基準とした回転の事を意味します。

※ 「座標系の自転」という語は、一般の3DCG用語ではなく、VCSSLに特有の呼び方です。
- 目次 -

座標系の自転

座標軸まわりの時点

自身の座標軸まわりの自転を行うには、 spinCoordinateX, spinCoordinateY, spinCoordinateZ 関数を使用します。

- 関数の形式 -

void spinCoordinateX ( int coordinateID, float angle )
void spinCoordinateY ( int coordinateID, float angle )
void spinCoordinateZ ( int coordinateID, float angle )

3つの関数がありますが、それぞれ X, Y, Z 方向の回転を扱います。

引数は以下の通りです:

※ ラジアンとは
角度の指定には、ラジアンという単位を使用します。これは主に理工学系の分野で多用される単位で、180度がちょうどπ(円周率)ラジアンとなるような単位です。つまり90度ならπ/2ラジアン、45度ならπ/4ラジアンとなります。
角度とラジアンの対応図
角度とラジアン
180度がちょうどπラジアンとなる。
なお、円周率の値はMathライブラリに、PIという名前のfloat型定数として用意されています。

任意方向ベクトルまわりの自転

自転軸を、自身から見た任意の方向ベクトルとするには、 spinCoordinate 関数を使用します。

- 関数の形式 -

void spinCoordinate (
  int coordinateID,
  float angle,
  float vx, float vy, float vz
)

引数は以下の通りです:

任意の原点と方向を持つベクトルまわりの回転

自転軸を、 自身から見た任意の原点・方向を持つベクトルとするには、 spinCoordinate 関数の引数を増やして使用します。

- 関数の形式 -

void spinCoordinate (
  int coordinateID,
  float angle,
  float vx, float vy, float vz,
  float px, float py, float pz
)

引数は以下の通りです:

プログラム例

実際にローカル座標系をワールド座標系の上に配置し、 45度 = π/4ラジアンだけ自転させてみましょう。

区別しやすくするために、 ローカル座標系には小さめの座標軸モデルを、 ワールド座標系には大きめの座標軸モデルを配置します。 また、自転と回転との違いを分かりやすくするため、 最初にローカル座標系をX方向に少し移動させてから自転させます。 以下のように記述し、実行してみてください。


import graphics3d.Graphics3DFramework;
import Graphics3D;
import Math;  // 円周率(PI)の値を使うため

// プログラムの最初に呼び出される関数
void onStart ( int rendererID ) {

	// 画面サイズや背景色の設定(省略可能)
	setWindowSize( 800, 600 );
	setBackgroundColor( 0, 0, 0, 255 );


	// ローカル座標系を生成
	int coord = newCoordinate( );

	// ローカル座標系をワールド座標系に配置
	mountCoordinate( coord, rendererID );

	// ローカル座標系をX軸方向へ移動させる
	moveCoordinate( coord, 1.0, 0.0, 0.0 );


	// ローカル座標系をZ軸まわりに45度自転
	spinCoordinateZ( coord, PI/4.0 );


	// ローカル座標系上に座標軸モデルを配置
	int axis1 = newAxisModel( 1.5, 1.5, 1.5 );
	mountModel( axis1, rendererID, coord );

	// ワールド座標系上に座標軸モデルを配置
	int axis2 = newAxisModel( 3.0, 3.0, 3.0 );
	mountModel( axis2, rendererID );
}
Sample.vcssl

このプログラムを実行すると、黒い画面に座標軸モデルが表示されます。 座標軸モデルは大きいものがワールド座標系の上に、 小さいものがローカル座標系の上に配置されています。 ローカル座標系は、親座標系のX軸の方向へ1.0だけ移動してから、 親座標系のZ軸まわりに45度だけ自転した状態となっています。

実行結果、自転した座標系の図
実行結果
大きな座標軸と小さな座標軸が表示される。小さな座標系は、自身の座標系のZ軸まわりに回転した位置にある。